LOADING...
0
SCROLL
プロジェクトストーリー 2026.05.13

プロモーションとリアルエンタメを横断するエクスペリエンス・パートナーへ― TOWが考えるリアルエンタメとは​

株式会社テー・オー・ダブリュー 代表取締役社長 / 村津 憲一

  • #パートナーシップ
  • #リアルエンタメ
  • #体験デザイン
  • #経営・ビジョン

TOWグループが描く、これからの成長戦略
広告・マーケティング市場のデジタルシフトが加速するなかで、生活者が自ら参加するリアル体験への需要はむしろ高まっている。TOWグループは2026年、「プロモーションとリアルエンタメを横断するエクスペリエンス・パートナー」という新たな中期事業成長ビジョンを発表。なぜ今、リアルエンタメなのか。そして、TOWはどこへ向かうのか。代表取締役社長・村津憲一に聞いた。

PROFILE
村津 憲一 Kenichi Muratsu
株式会社テー・オー・ダブリュー
代表取締役社長

株式会社テー・オー・ダブリュー 代表取締役社長
2000年TOW入社。第一本部長、体験デザイン本部長などを歴任したのち、2020年代表取締役副社長 兼 COO就任。2022年1月より代表取締役社長(現任)。

イベント会社からプロモーション会社へ— 5年間の成長戦略が問いかけたもの

―― まず、TOWグループがこれまで進めてきた成長戦略について教えてください。

村津TOWグループは2021年に、「新しい時代の体験を創る」というパーパスを制定しました。どんなに時代が変化しても、「体験」は人のココロとカラダを動かすものであり続ける。私たちはリアルやデジタルなど様々な方法を駆使しながら、生活者に感動や共感、ワクワクを届け続ける— その根本的な意志を言葉にしたものです。この先、事業や市場環境が変わっても、ここだけはぶれない。

このパーパスを掲げて2021年から私たちが取り組んできたのが、クライアントの拡張と領域の拡張の「2軸の拡張」による事業成長ビジョンです。広告会社との取引に軸足を置きながら、直クライアントや外資系広告会社・媒体社、コンサル企業など、取引先を多様化していくこと。もう一方では、リアルイベントを起点にデジタルや映像の活用を広げ、グループとしても成長もしていく。この2軸を同時に推進することで、TOWの提供価値をより高めていこうという考えでした。

―― この5年間で、大きな環境変化もありましたね。

村津コロナ禍によるイベント縮小から、東京オリンピック・パラリンピック、そして大阪・関西万博まで、本当に激しい変化の連続でした。ただ、そのなかでも「体験価値をコアに成果をデザインする」というビジョンのもとで事業を積み重ねてきたことで、直クライアントの拡大やグループ体制の強化を着実に進めることができたと思っています。デジタル・映像領域の強化もそのひとつで、グループとしての総合力は確実に上がりました。

―― その上で、次のフェーズへ踏み出す判断をされたわけですね。

村津クライアントや広告会社の皆様も、そして生活者も、この数年で大きく変わっています。広告・マーケティングのデジタル化・AI活用はさらに加速する。一方でクライアントは、自社でマーケティング機能を内製化する動きを強め、専門性の高いパートナーに直接発注するケースも増えています。生活者の側でも、デジタルとリアルをシームレスに使い分ける動きが定着し、またIPコンテンツやスポーツ、音楽など熱量の高いエンターテインメントが消費活動に大きく影響を与えるようになってきた。こうした広告・マーケティング市場とエンターテイメント市場の近接化を追い風として捉えながら、TOWグループとしての次の成長を描いていきたいと考えました。

リアルエンタメを、成長戦略に据える理由

村津 憲一|TOW グループ 代表取締役社長

―― デジタル化が進む時代に、なぜリアル体験の重要性が高まっているのでしょうか。

村津デジタル・AIによって広告の精度は上がり、情報はあふれています。でも逆に言うと、それだけ人々は「本物の体験」を求めるようになっている。デジタルで効率よく情報を得ながら、感情が動く場所にはリアルに足を運ぶ。その両方が共存している時代です。私たちは、デジタル化が進めば進むほど、人の心を強く動かすリアル体験の価値は、むしろ高まっていくと確信しています。

―― TOWが考える「リアルエンタメ」とはどのように定義されているのですか?

村津私たちは、「エンターテインメントの魅力によって人を惹きつけ、生活者が能動的に時間や対価を使って参加し、共感や熱量が広がっていくリアル体験」と定義しています。広告として届けるだけではなく、生活者が自ら参加したいと思う体験。その熱量がSNSで広がり、ブランドや企業との関係が自然に深まっていく。そういった体験を創り出すことが、私たちの目指すリアルエンタメの姿です。

―― そこから生まれたのが、新しいビジョンですね。

村津「プロモーションとリアルエンタメを横断するエクスペリエンス・パートナー」— これが私たちの新しい中期事業成長ビジョンです。我々が長年大事にしてきた考え方である「体験デザイン」を起点に、プロモーション領域とリアルエンターテイメント領域を横断することで、体験を通じて生活者の感情を動かし、行動を生み、その結果としてクライアントのブランド価値や事業成長に貢献する。その両軸を同時に叶えていくことをエクスペリエンス・パートナーとして大事にしていきたいと考えています。

TOWグループ 新中期事業成長ビジョン

―― 具体的に、どのような事業領域を描いているのですか?

村津3つの事業領域で考えています。ひとつ目は「プロモーション領域」— これは引き続きTOWの基盤となる、クライアントのマーケティング成果に向けたリアル・デジタル・映像のプロモーション施策です。ふたつ目が「プロモーション型リアルエンタメ領域」。マーケティング発想とエンターテインメント発想を掛け合わせ、クライアントの成果と生活者の感動・共感・ワクワクの両方を実現する体験です。そして3つ目が「事業・興行型リアルエンタメ領域」。IPコンテンツや音楽、スポーツといったエンターテインメント市場における、事業・興行型のリアル体験を創り出していきます。

―― 注力するテーマも定めていると伺いました。

村津リアルエンタメ領域の中でも、成長ポテンシャルが高くリアル体験が特に重要と考える5つのテーマを重点分野に設定しています。「IPコンテンツ」「音楽」「スポーツ」「食」「都市・商業施設」です。ゲームやアニメといったIPコンテンツは生活者の能動的な参加と消費を牽引する最大の成長領域ですし、食はどんな体験とも相性がよく集客力がある。都市・商業施設はエリアの賑わいを創る起爆剤にもなる。それぞれに固有の可能性があります。

パートナーと手を組み、体験の可能性を広げていく

―― 新しい領域への進出にあたって、外部パートナーとの連携やグループ拡張も積極的に展開していますね。

村津TOWグループが長年大事にしてきた体験デザインという考え方を起点に、これまで広告・マーケティング市場で培ってきたプロデュース・プランニング力やリアルとデジタルの統合力は確かな強みです。一方で、リアルエンタメの各テーマには、それぞれ深い専門性やアセットを持つプレーヤーがいる。私たちの力に外部の力を掛け合わせることで、より大きく、より速く、新しい時代の体験を生み出し続けていけると考えています。

―― その具体的な動きとして、DeNAとの業務提携がありますね。

村津はい。DeNAさんはIPコンテンツホルダーとの豊富なネットワーク、横浜DeNAベイスターズをはじめとするスポーツアセット、そして横浜・川崎を中心とした商業施設などのリアルアセットを持っています。私たちの体験デザイン力と組み合わせることで、IPコンテンツ・スポーツ・都市というリアルエンタメの重要テーマで、新たな体験価値を生み出していける。2026年4月には両社で共同運営する新組織「リアルエンタメ・アクティベーション部(REACT)」をDeNA内に立ち上げました。

―― 続いて、ブルースモービルの連結子会社化についても聞かせてください。

村津ブルースモービルは「大つけ麺博」をはじめ、年間25本のフードフェスを主催する会社です。「食」というテーマはリアルエンタメ領域の中でも特に生活者の日常に近く、集客力と熱量の高さが際立っています。彼らが長年積み上げてきた主催・興行のノウハウとネットワークに、TOWの体験デザイン力やプロモーション設計力を掛け合わせることで、食を起点にした新しいリアルエンタメの形を作っていきたいと思っています。

―― 2社に共通するTOWとしての姿勢はどのようなものでしょうか。

村津「TOWの体験デザイン力と各社のアセットやケイパビリティ・ネットワークを掛け合わせて、共に新しい価値を創る」ということです。私たちは、それぞれのパートナーが持つ強みや資産を最大限に活かしながら、そこに私たちの視点と実装力を加えることで、どちらか一方だけでは生み出せない体験を実現していく。エクスペリエンス・パートナーとしての役割を、パートナー企業との協業においても体現していきたいと思っています。

―― 今後の展望についてお聞かせください。

村津「プロモーションとリアルエンタメを横断するエクスペリエンス・パートナー」としての進化は、今始まったばかりです。DeNAとのパートナーシップもブルースモービルとの連携も、まだスタートラインに立ったところ。これらを通じてリアルエンタメ領域での実績を積み上げながら、TOWグループとしての体験デザイン力をさらに高めていきたいと思っています。また、グループとしての総合力を高めるためのアライアンスやグループ経営、新たな強みとなる取り組みについても、どんどん進めていく考えです。このTOWマガジンでも、各社・各事業の取り組みを順次ご紹介していければと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。

photo: 佐藤 大輔
Interview&Text: 村松 亮

PAGE TOP