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プロジェクトストーリー 2026.07.02

リアルエンタメの熱量を、マーケティングの成果へ。 ― グループ横断「リアルエンタメユニット」が目指すもの

株式会社テー・オー・ダブリュー 執行役員 リアルエンタメユニット担当 / 竹下 弘基
株式会社テー・オー・ダブリュー 執行役員 グループ体験デザイン担当 / 海老根 俊一

  • #リアルエンタメ
  • #体験デザイン

広告・マーケティング市場のデジタル化が加速する一方で、IPコンテンツやスポーツ、音楽といった熱量の高いエンターテインメントが、生活者の消費行動に大きな影響を与えるようになっている。この広告市場とエンタメ市場の近接化を追い風と捉え、TOWグループはグループ5社を横断する「リアルエンタメユニット」を新設した。このユニットは何を目指し、クライアントにとってどんなパートナーになれるのか。ユニットを牽引する竹下と海老根、2人の執行役員に聞いた。

PROFILE
竹下 弘基 Hiroki Takeshita
株式会社テー・オー・ダブリュー 執行役員 リアルエンタメユニット担当

株式会社テー・オー・ダブリュー 執行役員 リアルエンタメユニット担当。リアルエンタメユニットのテーマ推進、ネットワーク開発、アライアンスを統括。主催事業『AMBIENT KYOTO』の統括プロデューサー。

海老根 俊一 Shunichi Ebine
株式会社テー・オー・ダブリュー 執行役員 グループ体験デザイン担当

株式会社テー・オー・ダブリュー 執行役員 グループ体験デザイン担当 プランナーとしてキャリアをスタートし、体験デザイン本部長を経て、現在はグループ全体の体験デザイン推進を担う。リアルエンタメユニットでは提案力・各テーマ別戦略・ソリューション力向上を担当。

広告市場とエンタメ市場が、交差する時代

── リアルエンタメユニットの設立を発表しましたが、どのような背景や狙いがあるのでしょうか。

竹下今、「体験」の価値が高まっている、という実感があります。情報があふれるなかで、IPコンテンツや音楽、スポーツなどのリアルエンタメには、すでに高い熱量を持った生活者が集まっています。そうした体験は、ブランドとの関係性を別次元で深める力を持っています。その体験の価値をマーケティングに上手く活用できるのでは、と考えています。

海老根もうひとつはTOWグループが、これまで広告・マーケティング市場の中で培ってきた体験デザイン力をリアルエンタメ市場において発揮することで、リアルエンタメ体験をもっと拡張することができる。さらに拡張したリアルエンタメ体験に企業やブランドを巻き込んでいくことで、一方的に届ける広告ではなく、生活者が自ら体験したいと思うコミュニケーションが成立する。

── TOWグループはその変化をどう捉えて、ユニット設立に踏み切ったのですか。

竹下これまでもプロモーション領域でクライアントの課題に向き合うなかで、エンタメ文脈の案件に関わる機会は増えてきました。ただ、グループとして組織的に取り組めていたかというと、まだ個別対応の域を出ていなかった。それを、ユニットという形で本格的に束ねていこうと。

海老根「プロモーションとリアルエンタメを横断するエクスペリエンス・パートナー」——この中期事業成長ビジョンの実行体の一つがこのユニットです。宣言するだけでなく、本当に動ける組織に変えていく。

プロモーションで培ってきた力が、エンタメで武器になる

── エンタメ領域には、すでに多くのプレーヤーがいます。TOWグループならではの強みはどこにあるのでしょうか。

海老根私たちが長年積み上げてきたのは、「体験デザイン」という考え方です。クライアントの課題と生活者の感情、その両方を深く理解して、人のココロとカラダを動かす体験を設計する。単なるイベント制作ではなく、「なぜその体験をつくるのか」から始まる、コミュニケーション全体の設計力です。

竹下興行会社やエンタメプロダクションは、コンテンツを創り、ファンを集めることに長けていますが、私たちは少し違う角度から入れる。クライアントのマーケティング課題を起点に、エンタメの熱量をどう活かすかを設計できる。そこが差別化になると思っています。

── 今後は興行型のリアルエンタメにも取り組んでいくということですが、そのあたりも聞かせください。

竹下2022年から京都で開催している「AMBIENT KYOTO」はTOWが主催・企画制作プロデュースを行ったものです。アンビエントをテーマにした視聴覚芸術の展覧会で、ブライアン・イーノや坂本龍一+高谷史郎といった世界的アーティストの作品を展示してきました。クライアントの案件として受けたのではなく、TOW自身がコンテンツの価値を信じ、京都の文化・都市資産と掛け合わせて、プロデュースした事業です。音楽をはじめ文化や都市を横断したテーマだったことで、今回のユニットにつながる大きな経験値となっています。

5つのテーマで、TOWグループが描くリアルエンタメ

── リアルエンタメユニットは、「IPコンテンツ」「音楽」「スポーツ」「食」「都市・商業施設」の5つを重点テーマに掲げています。この5つを選んだ考え方を教えてください。

海老根「生活者の熱量が高くて、マーケティングとの相性が良い領域」という軸で選んでいます。どのテーマも、ブランドと生活者の感情をつなぐ接点として機能しやすい。そしてアウトプットの形も幅広いんです。ブランドコラボや協賛・展示ブースのような「プロモーション型」もあれば、私たち自身が主催・共催として提供する「事業・興行型」もある。この5テーマ×多彩なアウトプットの掛け算で、可能性は大きく広がります。

竹下DeNAとの連携や、ブルースモービルの合流を始めとして、各テーマを加速させていきます。

IPコンテンツ

── それぞれのテーマについて、聞かせてください。1つめがIPコンテンツですね。TOWグループはこれまでも数多くのゲームやアニメのイベントを手がけてきたと思いますが、このテーマにはどのような可能性があるのでしょうか。

海老根IPコンテンツのコミュニティって、すごく能動的なんですよね。好きなIPのためなら時間もお金も惜しまない。ゲーム、アニメ、漫画、VTuber——どのジャンルでも、ファンが自ら集まり、消費し、SNSで広げていく循環が自然に起きる。アウトプットの幅も広く、私たちが最も成長を期待しているテーマです。

CASE|ポケモンジャパンチャンピオンシップス2024 クライアント:株式会社ポケモン
ポケモンバトルの日本一を決める公式大会。競技イベントの企画・演出から会場構成・WEB中継までをTOWがプロデュース。ファンが熱狂するリアルの場と、デジタル配信による体験の広がりを両立させた。

音楽

── 2つめが音楽です。音楽ライブやフェスは、まさに熱狂が生まれる場ですが、TOWグループとしてはどのような関わり方を描いていますか。

竹下音楽ライブほど、人の感情が一気に動く場はなかなかない。生活者が熱量を持って集まっている場所だから、ブランドが自然な形で存在できる。ただ協賛ロゴを出すだけでなく、その場の感情とブランドが結びつく設計をすること。それができると、音楽体験そのものがブランドの記憶になっていきます。

CASE|adidas Originals「THE ORIGINAL LIVE TOUR TOKYO 2025」 クライアント:adidas Japan K.K.
アディダス オリジナルスが主催した音楽ライブイベント。LANA、yama、YZERRが2週連続でステージに登場し、渋谷5面ビジョンでのライブ映像放映やLIVE配信も展開。ブランドの世界観と音楽の熱量を掛け合わせたプロモーション型リアルエンタメの好例。

スポーツ

── 3つめがスポーツですね。スタジアムやアリーナの熱狂は唯一無二のものですが、ここではどのような体験を生み出せるのでしょうか。

竹下スポーツの会場は、来た人たちがすでに感情を高ぶらせている。その場所にブランドが関わる意味は、通常の広告とはまったく違うんです。観戦体験そのものの演出から、アリーナ空間でのアクティベーションまで関わり方は幅広い。

CASE|『OPENING SERIES 2022』オープニングセレモニー クライアント:株式会社横浜DeNAベイスターズ
「反撃の炎とロック」をテーマに、球団史上最大規模の約60台の火炎機材を使用した演出をプロデュース。ライブパフォーマンスやヘリコプターを使った映像連動演出を組み合わせ、開幕戦直前の横浜スタジアムを熱狂の空間に変えた。

── 4つめが食です。フードフェスを主催するブルースモービルがグループに加わったことも大きいと思いますが、食というテーマの可能性をどう見ていますか。

海老根食は、どんな人にとっても身近で、体験の中心に置きやすい。フードフェスはそれ自体が目的地になれるし、他のエンタメと組み合わせれば場の魅力をさらに高める。ブルースモービルが多くのフードフェスを主催してきた実績に、TOWの体験デザインを掛け合わせ、食を起点にした新しいリアルエンタメを作っていきたいですね。

BLUES MOBILE(TOWグループ連結子会社)について

「大つけ麺博」をはじめ年間25本のフードフェスを主催するブルースモービルが、2026年4月にTOWグループに合流。主催・興行のノウハウとネットワークを活かし、食領域のリアルエンタメ拡大を共に推進する。

都市・商業施設

── 5つめが都市・商業施設です。インバウンド需要の高まりもあり注目が集まる領域ですが、TOWグループならではの強みはどこにありますか。

竹下インバウンド需要の高まりとともに、都市や商業施設がエンタメ性の高い体験を求めるようになっている。人が集まり、回遊し、体験するといった、賑わいをつくること自体がブランディングになる時代です。施設単体のイベントから、エリア全体を舞台にした回遊型の仕掛けまで対応できる。複数の事業者や行政を巻き込む調整力やプロデュース力も、プロモーションで培ってきた強みが効いてくる領域です。

CASE|LIGHT WALK ODAIBA クライアント:ODAIBAイルミネーション実行委員会
臨海副都心エリア全体の回遊性向上を目指す東京都のまちづくり施策として、エリアを包むイルミネーションイベントを企画・制作。商業施設やホテル・駅との連携、スタンプラリーの展開を組み合わせ、エリア全体の夜間回遊を促進した。

グループ横断で動く意味

── 「グループ5社横断」という組織形態になった理由は何ですか。

竹下リアルエンタメの案件は、ひとつの会社のケイパビリティだけで完結しないことが多い。イベント演出、映像・デジタル、メディア、フードイベントなど、それぞれに強みを持つ会社がグループにいる。横断ユニットにすることで、案件に応じた最適なチームをグループ全体から組成できる。それがクライアントへの提供価値の最大化につながります。

海老根もうひとつ、グループ横断にすることで、プロモーションとリアルエンタメの知見が相互に循環します。プロモーションの精度がリアルエンタメを高め、リアルエンタメの熱量がプロモーションを進化させる。その両方が動くことで、TOWグループ全体の体験デザインがアップデートされていくと考えています。

※2026年7月時点の情報です。

Photo:後藤 薫
Interview&Text:村松 亮

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