リアルエンタメアクティベーション「REACT」が目指す、体験を通じた事業成長の新しい形 DeNA × TOW 共同事業の背景と展望
DeNA
スポーツ·スマートシティ事業本部 ビジネスプロデュース事業部 兼 リアルエンタメ·アクティベーション部 事業部長 / 寺嶋 隆司
TOW
アカウントサービス本部 エグゼクティブ·プロデューサー / 別府 卓也
ゲーム、アニメ、スポーツ――。
人々が熱狂するコンテンツは数多く存在する一方で、その価値を事業成長へとつなげる仕組みづくりは、まだ発展途上にある。
2026年4月、DeNAとTOWはリアルエンタメアクティベーション事業「REACT」を始動した。単発のイベント制作でも、プロモーション支援でもない。
リアルエンタメを起点に、体験価値の最大化と事業成長の両立を目指す新たな挑戦だ。
なぜ今、両社は手を組んだのか。
そしてREACTは、従来のイベントやプロモーションと何が違うのか。
DeNA スポーツ·スマートシティ事業本部 ビジネスプロデュース事業部 兼 リアルエンタメ·アクティベーション部 事業部長 寺嶋氏と、TOW アカウントサービス本部 エグゼクティブ·プロデューサーの別府氏に話を聞いた。
スポーツ·スマートシティ事業本部
ビジネスプロデュース事業部 兼 リアルエンタメ·アクティベーション部 事業部長
アカウントサービス本部 エグゼクティブ·プロデューサー
なぜ今、DeNAとTOWは「REACT」を立ち上げたのか
── まずは、お二人の現在のお仕事と、REACT立ち上げに至る背景について教えてください。
寺嶋現在、私はDeNAのスポーツ·スマートシティ事業本部に所属し、新たに立ち上がったビジネスプロデュース事業部の責任者を務めています。同時に、リアルエンタメアクティベーション「REACT」の責任者も担当しています。
DeNAではこれまで、スポーツチームやスタジアム運営などを通じて、リアルな熱狂の場を数多くつくってきました。その中で近年、スポーツに限らず、さまざまなIPホルダーやコンテンツ事業者の方々から「一緒に事業を成長させてほしい」というご相談をいただく機会が増えてきたんです。
── そこで生まれたのがREACTだった、と。
寺嶋そうですね。ただ、我々だけでその領域を広げていくには限界もありました。そんな中で、以前から横浜DeNAベイスターズのイベントなどでご一緒していたTOWさんと、「もっと大きな取り組みができるのではないか」という話になったんです。
別府氏TOWとしても非常に自然な流れでした。
DeNAさんは、人が熱狂するリアルな場を持っている。一方でTOWは、どうすれば人の感情と行動を動かせるのかを「体験デザイン」として磨いてきました。
リアルな熱狂の場を持つDeNAと、その熱量をさらに広げる体験設計を得意とするTOW。この掛け合わせは、単なる制作パートナーシップではなく、クライアントの事業成長そのものに貢献できる座組になると感じたんです。
「熱狂の場」と「体験デザイン」REACTを支える両社の強み
── 改めて、REACTにおけるDeNAとTOW、それぞれの強みはどこにあるのでしょうか。
寺嶋DeNAの強みは、コンテンツそのものを運営してきた経験だと思っています。
スポーツチーム、ゲーム、アニメなど、さまざまなコンテンツを自分たちで育ててきました。成功も失敗も含めて蓄積してきた経験値があります。
さらに、スタジアムやアリーナなどの施設運営も行っているため、「どうすれば人が集まるのか」「どうすれば継続的な事業になるのか」という視点を持っていることも特徴ですね。
別府TOWは、生活者インサイトの発見から、体験設計、PR設計、SNS導線設計、そして実装までを一気通貫で行ってきました。人の感情をどう動かすのか。どうすれば参加したくなるのか。どうすれば熱量が広がるのか。そうした「人が動く理由」を設計することが、私たちの強みだと思っています。
── 役割分担というより、お互いの強みを掛け合わせている感覚なんですね。
別府まさにそうです。補完関係というより、それぞれが持つアセットを掛け合わせることで、新しいリアルエンタメのあり方を生み出そうとしている。それがREACTの本質だと思います。
なぜ今、リアルエンタメなのか
── お二人は現在のリアルエンタメ市場をどのように見ていますか。
別府近年、リアル体験の価値が改めて見直されていると感じています。
デジタルコミュニケーションは確実に進化しました。でも実際に触れる、味わう、応援する、熱狂するという体験は代替できません。
情報が溢れる時代だからこそ、人は「体験」を求めていると思うんです。
── デジタルが進化したからこそ、リアルの価値も高まっている。
別府そうですね。リアル体験によって感情が動くと、その体験は記憶になり、行動につながる。そしてSNSや口コミによって広がっていく。そこに大きな可能性があります。
寺嶋スポーツも同じです。配信で観る楽しさもありますし、SNSで共有する楽しさもあります。でも実際に球場へ行く体験はまったく別物です。
空気感や音、光、周囲の熱狂、自分自身がその場を構成している感覚。リアルな場には、参加している実感があります。
それは単なる観戦ではなく、人生を豊かにする体験の一つだと思っています。
REACTはイベント会社でもコンサル会社でもない
── REACTは従来のイベント制作やプロモーション支援と何が違うのでしょうか。
別府一言で言えば、「単発で終わらない」ということです。
イベントを開催して人を集めて終わりではありません。誰が参加したのか。何を体験したのか。
その後どう行動したのか。
そこまで含めて設計し、事業成長につなげていくことを目指しています。
寺嶋私たちはコンサルティングだけをしたいわけではありません。
リアルエンタメという実践の場を持ちながら、事業成長を支援していくことが重要だと考えています。
単にイベントを受託するのではなく、一緒に事業をつくっていく。その考え方がREACTの大きな特徴ですね。
REACTが目指す未来
── 最後に、REACTを通じて実現したい未来について教えてください。
寺嶋私たちは、コンテンツホルダーの皆さまの事業価値を高めながら、そこに触れる人たちの体験価値も最大化していきたいと思っています。
点在している体験やデータをつなぎ合わせ、より良い顧客体験を提供していく。それがREACTの目指す方向です。
別府生活者を「受け手」ではなく、「参加者」として捉えたいと思っています。
リアルエンタメを通じて感動や熱狂に触れた人が、また参加したいと思う。そしてブランドやコンテンツとの関係が深くなっていく。
そんな循環を生み出しながら、社会全体にポジティブな熱量を広げていきたいですね。
※2026年7月時点の情報です。
Photo:後藤 薫
Interview&Text:村松 亮