映像領域強化で進化する「体験×映像」――TOWが目指す映像領域の新たな姿
執行役員
体験デザイン本部 映像ビジネス担当役員
株式会社モット 代表取締役社長 / 江口航治
体験デザイン本部長
デジタルアクティベーション室長
企画室長 / 甲斐智大
統合プロモーションの進化とともに、リアルだけでなくデジタルやPR、SNSまで横断した体験設計が求められる時代になった。そうした中で、TOWがさらに高めたいと考えてきたのが「映像」の力だ。その期待に応える形で、映像文化と技術を備えた正統派の制作チームと、稀有なキャリアを持つ映像プロデューサーが参画した。映像領域の強化を通じて、TOWが目指す「体験×映像」の新たな姿とは。
体験デザイン本部 映像ビジネス担当役員
株式会社モット 代表取締役社長
広告映像の第一線でキャリアを重ね、CM制作会社、フリーの映像プロデューサーを経てTOWに入社。現在は映像ビジネス担当役員およびモット代表取締役社長として、TOWが目指す「体験×映像」の領域拡張を推進。リアルイベントや統合プロモーションにおける体験価値の向上に映像制作の切り口から向き合っている
デジタルアクティベーション室長
企画室長
体験デザイン本部長として、リアル、デジタル、PR、SNSなどを横断する統合プロモーションの企画・推進を担う。クライアントの課題解決と生活者の体験価値向上を両立する視点から、TOWにおける「体験×映像」の進化を牽引。映像領域の強化を通じて、エクスペリエンス・パートナーとしての提供価値拡張に取り組んでいる。
映像領域の強化とは「体験×映像」の進化を果たすこと
――まずお聞きしたいのは、このタイミングでTOWが映像領域強化をトピックに掲げる理由です。そこには、きっかけのようなものがあったのでしょうか?
甲斐直近の起点をお伝えすれば、テレビ番組やテレビCMの制作会社であるMOTTOが2023年7月にグループ会社としてTOWにジョインしたこと。そのMOTTOの代表取締役社長に、幅広い映像制作経験を持つ江口さんが2026年7月に就任したこと。その流れがあるからこそ、このタイミングで映像領域の強化について語れるようになりました。
江口僕は広告業界で有名な老舗CM制作会社の太陽企画でキャリアをスタートさせ、フリーの映像プロデューサーを経て2025年4月にTOWに入社しました。MOTTOの代表以外に、TOWの映像ビジネス担当役員の職責もあります。
甲斐もう少し歴史をさかのぼると、クライアントの課題解決に向けたリアルイベント制作をDNAとして持つTOWは、さまざまな課題により深くコミットするため、リアル、デジタル、PR、SNSなどを横断する統合プロモーションへと進化してきました。加えて、それら各領域で映像を活用したコミュニケーションも手掛けてきました。
写真左:体験デザイン本部長 甲斐智大/写真右:執行役員 江口航治
――実績もある映像領域の強化は、統合プロモーションにおいてどのような意味を持つのでしょうか?
甲斐たとえばコロナ禍以降、配信イベントが重要な要素になったように、市場や社会が発展・成熟する中で、生活者の関心はモノからコトへ移り、体験の価値はさらに高まっています。今日では、多くのイベントで映像は欠かせない存在になっています。あるいはチームラボの作品のように映像自体をコンテンツ化していく中で、クライアントの課題解決を統合プロモーションで実行するTOWは、映像という領域からも体験価値をさらに高めていかなければなりません。つまり映像領域の強化とは、かつて体験を構成する一つのピースとして捉えていた映像を、「体験×映像」として進化させることです。
江口TOWが取り組む映像は、一度限りの体験として展開する「フロー型」と、繰り返し活用できる「ストック型」に分けることができます。イベント当日のように、その場限りで展開するものがフロー型。イベントの前後で展開する完パケ映像がストック型です。前者は「カッコいい」「キレイ」「新しい」という形容詞が軸になり、後者は一定の時間を要することで「深い感動と納得」を訴求することができます。その二つの型の特性を整理する統合プロモーションで、クライアントの目的と生活者の視点を結び付けていく。人の感情を動かし、ブランドとの関係を育てられるのが映像ですから、僕らはその魅力を最大化することが使命です。
【大型イベントにおける「体験×映像」の事例】
170社以上の企業・団体の皆様と共に創り上げたJapan Mobility Show 2025の主催社プログラム。
10年後、2035年の景色や生活を巡りながら、様々なヒントやモビリティの進化に触れ、未来へ向けた新たなアイデアと出会うことができるツアープログラムを来場者に提供。
オーセンティックな映像制作を生かした新領域へ
――映像も手掛けてきたTOWの歴史で、映像領域の強化に関心が高まった事例はありましたか?
甲斐ここで紹介するべきは、江口さんが在籍していた太陽企画と組んだ「映像×イベント」ですよね。
江口2015年に正式な業務提携を果たした「T×T(ティーティー)」という名称のプロジェクトでした。
甲斐自販機から水が弾ける清涼飲料水のCMを太陽企画がつくり、CMと同じ体験ができるイベント制作とウェブ映像をTOWが担当しました。映像とイベントの融合で大きな広がりが経験できた取り組みでしたね。
江口その頃の僕はデジタルにはまり込んでいたので、イベント自体が遠く、実はTOWの存在も知りませんでした。だからこそ「映像×イベント」のコンセプトが新鮮だったし、こういう領域が拡張していくのはおもしろいと思いました。
甲斐その一方で僕ら側は、統合プロモーションにおける映像の力を再認識した結果、改めて映像領域をさらに進化させる余地を実感することになりました。
――以前から映像を手掛けていたのに?
甲斐あくまで僕自身が考えていたのは、コミットした企画を形にするためにTOWで映像を制作しても、もともと映像文化が十分にあるわけではないため、継続的に強みにしていくことが難しかったというか、餅は餅屋だとしたら、社内で映像プロデューサーは育ちにくいという結論でした。映像って、属人的なところがありませんか?
江口おっしゃる通りで、人のつながりに重きを置くウェットな世界です。しかもタレントCMが好きな人はそればかりやるから、CGにもイベントにも興味なし。逆もまた然り。そんな業界に限界を感じていち早くデジタルに移行し、レンタルショップを駆逐したネットフリックスの登場に焦燥感を覚えながら、僕はより統合的なプロデュースへと向かったのですが、映像業界には今も専門性ごとに分かれた文化が残っているようです。
甲斐映像業界が変わらないとしても、自分でもこんなにTikTokを見るとは思わなかったほど完パケ映像が世の中に浸透すると、TOWとしても、映像領域で確かな実力を示せる体制を整えたいと考えていたんです。そこにMOTTOがジョインし、これでようやくオーセンティックな映像制作を生かした新領域に進めると安堵しました。その数年後に稀有な経歴を持つ江口さんがMOTTOの代表取締役社長に就任して、「本当に助かった!」というのが実感ですね。
どうすればおもしろくなるかを生活者の目線で焚きつけていく
――映像領域強化が果たせるようになったTOWは、これから何を目指しますか?
甲斐TOWの統合プロモーションでは、映像も体験を構成する重要な要素だと考えています。今後のキーワードは「体験×映像」です。それを進めるには、大きく二つの軸があります。一つは、イベント領域です。近年の大型スポーツイベントでも、会場演出に巨大なLEDディスプレイや映像演出が活用されるなど、体験を新しく面白くする要素として、装置や仕掛けを含めた映像の重要性はさらに高まっています。もう一つは、広告プロモーションに不可欠な完パケ映像の領域です。この二軸は、エクスペリエンス・パートナーとしての進化を目指すTOWにとって、どちらも欠かせない大事な核になります。
江口デジタルサイネージに関して言うと、日本は海外に比べて遅れ気味です。ビルの角で猫が飛び出す3Dが話題になる程度ですよね。そこもデザイン性や予算を含め、体験映像の領域で新しいものに挑みたいです。
【ブランドの世界観を空間全体で体感させる「常設空間」の事例】伊藤忠のマンションブランド「CREVIA」を体感できる新型マンションギャラリー「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」に常設されている4面の大型のLEDスクリーンルームにおいて、クレヴィアのブランド世界観が伝わる没入感のある映像を企画・制作。
――江口さんがTOWに入社して1年余りの間に「体験×映像」を具現化した事例はありますか?
甲斐2025年10月末から開催された『Japan Mobility Show 2025』内の『Tokyo Future Tour 2035』ですね。あれは、今後のTOWの可能性を示せた大きな事例になりました。
江口リアル空間と連動するよう制作した12本の映像を大型LEDに投影し、10年後の景色や生活を巡りながらモビリティの進化に触れてもらう体験ツアープログラムです。僕も映像をつくらせてもらいました。今後はオーセンティックな映像制作チームであるMOTTOを、TOWが求める「体験×映像」の魅力を引き出せる最高のパートナーになるようチューニングしていかなければと思っています。
甲斐まさしく、MOTTOとTOWがエクスペリエンス・パートナーとして、共に進化するのが目指すところになります。映像領域の強化で、よりおもしろいものをつくりたいです。
江口「おもしろいもの」は本当に重要な号令で、どうすればもっとおもしろくなるのかを、甲斐さんや僕が生活者の目線で問い続け、チームを刺激しながら、これまでにない「体験×映像」を生み出していきたいと思っています。
※2026年8月時点の情報です。
Photo:後藤 薫
Interview&Text:田村 十七男